宵の明星、明けの明星の別名で有名な金星は、いちばん明るいときでマイナス4.7等級の明るさになる、「目立つ」星です。

そんな金星ですが、天体望遠鏡でのぞいてみると、月のように満ち欠けしたり、大きさが変化したりと、興味深い別の顔を見せることになります。

ところで天体望遠鏡の口径や倍率はさまざまです。

天体望遠鏡の倍率が異なると、見ることのできる金星の様子も異なってくるはずです。

単純に倍率が大きくなると、金星はより大きく、より表面の様子が鮮明にわかるようになるのでしょうか?

それとも何か別の要素が影響してくるのでしょうか?

望遠鏡を通した金星の見え方は?

金星は半月の状態になったときが最も地球から見やすく、そこからさらに内合(金星が太陽と地球の向こう側で一直線になった状態)との中間くらいの位置で最も明るく輝きます(最大光度)。

金星はたとえ望遠鏡で見ても、表面は常にぼんやりとしています。

これは、金星の表面が雲でびっしりとおおわれている上に、雲には木星のような、特徴のある模様は何もないからです。

したがって、金星を観測する目的だけに使うのだったら、無理して高価な口径の大きい天体望遠鏡を買わないでも、子供が最初に買ってもらうような、口径50ミリメートルから60ミリメートルくらいのものでも十分役に立ちます。

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金星を望遠鏡で観測するのに必要な倍率とは?

子供用入門機レベルの天体望遠鏡(口径50ミリメートルから60ミリメートル)では、 低倍率(30倍〜70倍)なら金星の形がぼんやりわかる程度ですが、中倍率以上(70倍〜)なら、金星の満ち欠けや大きさの変化がある程度はっきりとわかるようになります。

一般の初心者が購入する天体望遠鏡(口径80ミリメートルから100ミリメートル)なら、中倍率(70倍から140倍)で 月を観測するのと同じ程度に満ち欠けがはっきりと観察でき、高倍率(150倍以上)だと、表面のかすかな白斑や濃炎さえ見えるようになります。

ちなみに低倍率の接岸レンズを用いると、金星はぼんやりとした小さな丸に見えるだけですが、望遠鏡が金星の姿をとらえるための導入作業によく使われます。

それ以上の性能の天体望遠鏡(口径150ミリメートルレベル以上)であっても、使い心地は一般初心者用の天体望遠鏡と全く同様です。

もしかして、金星の観測だけに使うのだったら、オーバースペックかもしれません。

まとめ

金星の表面は分厚いガス雲におおわれて変化がほとんどないので、天体望遠鏡の倍率を上げても、金星が単純により見やすくなるとは限りません。

口径50ミリメートルから100ミリメートル、倍率100倍くらいのスペックがあれば、十分金星の観測を楽しむことができます。

金星の観測だけのために、口径が大きくて高い倍率で見ることができる高級機を、無理して手に入れる必要はありません。

初心者向きの天体望遠鏡で十分です。