月は地球のまわりを公転する衛星、金星は太陽のまわりを公転する惑星、という定義の段階で、すでに両者の間に大きな違いがある、と断言するのはいい過ぎでしょうか?
実は金星と月は、どちらも夜空で満ち欠けをする星であるという、共通点があるのです。
望遠鏡を使って金星を観察すると、金星が満ち欠けするのがわかります。
金星と月の違いは?!
同じように満ち欠けをするといっても、月と金星の満ち欠けの仕組みは全く違います。
そのため、月は満ち欠けをしても大きさは異ならないのに対し、金星は満ち欠けをする際に、見かけの大きさが変化するのです。
金星の満ち欠けの原因は、金星が地球の内側で太陽のまわりを公転することで、地球と金星や太陽との間で作る角度(離角)が少しずつ変わることです。
このとき金星と地球の距離も近づいたり遠ざかったりするため、見かけの大きさも変わります。
しかも金星が地球を挟んで太陽の向こう側にはいってほとんど何も見えなくなる時期(外合)と、太陽と金星の間に地球がはいって、逆に地球が金星の輝くのを邪魔する時期(内合)も生じます。
これに対して、月は地球のまわりを公転しているため、地球との距離はほとんど変わりません。
そのため月の見かけの大きさも、変化することはありません。
月が満ち欠けするのも、地球のまわりを公転するせいです。
月が太陽の光を受ける面が地球から見ると少しずつ移動することになり、新月→三日月→上弦の月→満月→下弦の月→新月といったサイクルで、ほぼ30日の周期で月が満ち欠けするのです。
まとめ
金星と月で共通する「満ち欠け」。
しかしその仕組みは、月が地球の衛星であり、金星が地球の内側で太陽のまわりを公転する惑星という違いがあるため、かなり異なっています。
満ち欠け以外の共通点を探したら、どちらも自分自身で発光するのではなくて、太陽の光を受けて輝いていることと、どちらも磁場が存在していない、ということをあげることができます。
それ以外の点は、金星と月は似ていることより異なっていることの方が多いくらいです。
自転の周期も異なります。
金星は月のおよそ3.5倍です。
重力も地球の0.9倍ある金星に対して、月は地球の0.17倍くらいです。
何よりも、分厚い大気でしっかりとおおわれている金星に対して、月に大気はありません。