夕方の空に明るく輝く宵の明星や、日がのぼる直前の明け方の空に光る明けの明星のように、なぜ金星は限られた時間しか見ることができないのでしょうか?
月との位置関係も考えながら、この点について説明したいと思います。
金星と月の夜空での位置関係とは?!
金星は、地球の内側で太陽のまわりを公転しているために、夜中に見ることは絶対にできません。
地球から見ると、金星はいつも太陽の側(つまり昼間の側)に存在しているからです。
太陽との間の角度が47度以上になることは決してありません。
地球の夜の面は、常に太陽と反対側を向いていることから、なぜ金星が地球の夜中に見ることができない理由が簡単にわかります。
そして地球から金星がかろうじて見えるのは、朝の太陽がのぼる前と、夜に太陽が沈んだあとのそれぞれ数時間だけに、限られてしまいます。
金星が、明けの明星や宵の明星の名前で知られているのは、当然のことなのです。
宵の明星は日没後の西の空に、明けの明星は日の出前の東の空に輝きます。
そして当たり前のことですが、一晩の間に宵の明星と明けの明星を同時に見ることは、不可能です。
一方の月は、ほぼ30日かけて、地球のまわりを回っています。
そして上記の理由により、金星と月が夜空に一緒に見えるのは、太陽が沈んだ直後か太陽がのぼる直前に、月が天空にあらわれているときに限られてしまいます。
特に月齢2ぐらいの細い月は日の入り後の西の空に、それとは逆の月齢27前後の細い月は日の出前の東の空に輝くので、うまくタイミングが合えば、月と金星が互いの近くに見えることになるはずです。
月と金星の間の距離の測り方は?!
地球から太陽までの距離は149,600,000キロメートル、金星から太陽までの距離は108,200,000 キロメートルです。
したがって、地球から金星までの距離は、41,400,000キロメートルから257,800,000キロメートル、つまり4,140万キロメートルから2億5,780万キロメートルの間を変動しています。
これに対して、地球から月までの距離は384,400キロメートルなので、月から金星までの距離は理論上41,015,600キロメートルから258,184,400キロメートル、つまり4,100万キロメートルから2億5,820万キロメートルの間を変動していると計算できます。
より正確な値を求めたい場合は、レーダーから発する強力な電波を利用して、地球から金星と地球から月の正確な距離を測定し、数学的な処理を行うことで、計算が可能です。
まとめ
金星は、地球の内側を回る内惑星であるため、夜中には絶対見えない、という特徴があります。
そのかわり夕方西の空に宵の明星として輝く場合と、明け方に東の空に輝く場合に分かれます。
一方の月は、弓のように細い月(2日目あるいは27日目の月)が、月と金星の周回のタイミングさえ合えば、明け方あるいは宵の明星の近くで見つかります。