木星の衛星であるイオは、惑星探査機「ボイジャー」によって地球以外で初めて火山活動が確認された天体ですが、ではそのメカニズムはどういうものなのでしょうか。

では、イオの火山活動とその仕組みについて紹介していきます。

木星 イオの火山は活火山!そのメカニズムとは?

イオには火山がありますが、そういっても実はその溶岩の成分や仕組みなど、地球で知られているものとは色々と異なる点があるのです。

まずその成分。

地球に存在する溶岩、つまりマグマは特殊な場合を除き、一般的に液体成分だけでなく鉱物結晶を含み、主成分はケイ酸塩鉱物主体です。

対してイオを覆う溶岩は主に硫黄を主成分として、他にナトリウムなどを含んでいると考えられています。

イオには数多くの活火山があり、その数実に150個以上観測されています。

この点から、イオには火山が400個ほどあるのではないかという推測がされています。

25km以上の大きさを持つカルデラ地形(火山活動によって出来た大きな凹地)もたくさん存在し、100か所以上も見つかっています。

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また、その火山のなかには噴煙を200kmから300kmもの上空まで噴煙を噴き上げている火口も観測されています。

しかもその速度は秒速1kmもの速さだったそうですから、イオの火山のパワーは凄まじいものだと感じ取れます。

宇宙空間まで到達しているとも言われていますから、途方もない力が働いているのですね。

そしてそんなイオの火山活動はどうして起こるのかというと、こちらも地球の火山活動のメカニズムとも違いがあります。

地球の火山活動が地核内部からの熱によるものなのに対し、イオの火山活動は木星と他の衛星との潮汐作用によりもたらされたエネルギーで起こります。

何だか小難しいですが、簡単に言うと、自転と公転が共鳴しているためにイオはいつも木星に同じ面を向けているのですが、このように固定されている状態から様々な方向から引力を受けているので、実はイオは柔らかいボールのように変形していて、地表は100m程度上下変動するのだと言います。

それほどの歪みが生じる際に摩擦が生じて内部に熱が生まれているのだと考えられているのです。

また、イオの大きさは月とほぼ同じくらいですが、それに対し軌道の中心となっている木星は太陽系最大の質量と大きさを持ちます。

そんな星の間近を回るだけでなく他の衛星からの引力、またさらにはダメ押しかとばかりに木星からの強力な磁場によって、イオの内部には電流が起こって熱源となります。

これがイオの大規模な火山活動の源となっているのです。

まとめ

星がその形を変形させるだけでも想像がつきにくいですが、その変形に伴って熱が生まれ、それによって灼熱の星になっているとは想像がつきませんでした。

知らないというだけで、このイオの他にも何気なく眺めている星が思いもしない構造をしているなんてこともありそうです。