地球に磁場があるのと同じように、木星にも磁場があります。
木星の磁場は地球の磁場とは比べものにならないほど強力です。
木星は、太陽系の惑星の中で最強の磁場を誇っています。
木星の磁場とは
木星の磁場は、地球の磁場の2万倍の強さがあります。
太陽系の中で磁力がもっと強い場所は、太陽の黒点を除くとどこにもありません。
木星の磁場の軸は自転軸とは少しずれていて、磁場の極性が地球と逆(北極がN極で南極がS極)です。
また磁場の形が北半球と南半球で少し異なっているなど、地球より構造が複雑です。
木星の複雑で超強力な磁場のおかげで、木星とその衛星は太陽風(太陽から吹き出す高速のプラズマ流)の直撃を免れています。
大規模な磁場を持っていない金星や火星のように、大気の一部が宇宙空間へと流出してしまう、といった現象が起こる心配はありません。
強い磁場は、木星自身とその周囲をまわる衛星にも、大きな影響を与えています。
木星に最も近い軌道を回る衛星のイオは、巨大な火山がたくさん活動している硫黄だらけの地獄のような世界です。
イオの過酷な環境は、木星の強い磁場の生み出す潮汐力がイオに働き、他のガリレオ衛星(エウロパとガニメデ)の影響も加わって、イオの地表に大きな歪みが生じるためといわれています。
強い磁場のおかげで木星の極では巨大なオーロラが絶えず発生しています。
木星のオーロラのエネルギーは、地球のオーロラの1,000倍に相当します。
オーロラは太陽から放出された電子が惑星の磁場に飛び込んで、惑星の大気と衝突して発光することで起こる現象です。
木星のオーロラの場合、イオの火山活動で宇宙空間に吹き出したガスの粒子が木星の磁場にとらえられて、木星の極の大気中で超大型のオーロラを生み続けているのです。
地球の2万倍の磁場を持つ木星でなら、どれほどスケールの大きなオーロラが観測できるでしょうか。
まとめ
木星の磁場は太陽系の惑星の中で最大・最強の規模を誇っています。
それは太陽から飛来する太陽風の影響から木星自身とその衛星を保護すると共に、大規模なオーロラを発生させたり、衛星イオの火山活動を促進したり、といったさまざまな影響を周囲に与えています。