衛星というと、私たちにとって最も身近である月は、表面が隕石の衝突などによって出来たであろうクレーターが点在していて、表面はとてもごつごつしているような印象を受けます。
では、月と同じ衛星であるならば、木星の第二衛星エウロパの表面も、やはり「クレーターでごつごつとしているの?」と思うかもしれませんが、写真を見てみるとまるで傷がついたビー玉のように幾重にもひっかき傷のようなものが見えるのが分かります。
では、あれはいったい何なのでしょうか?
木星の衛星、エウロパの表面にはヒビが入っている?!
木星の第二衛星であるエウロパは、実は表面を少なくとも3km以上もの厚さで覆われていると言われています。
その上、エウロパは木星とその他の衛星からの潮汐力(地球で言うと潮の満ち引きを起こす力)の影響によって星内部で熱が発生しているのですが、表面の堅い氷層の下が深さ数十kmから百数kmにわたってその熱に融かされているために、シャーベット状になっているのです。
外側がコーティングされたソフトキャンディのような感じ、といえば多少伝わりやすいでしょうか。
また、エウロパの表面をコーティングするように覆う氷は光を反射しやすい傾向にあります。
同じ波長の赤外線を吸収して、とても明るく見えるのです。
潮汐力によりエウロパには熱とともに歪みも発生していますから、表面には裂け目が出来たりふさがったりを繰り返しています。
ですので、エウロパにはリネアと呼ばれる線状地形や、マキュラと呼ばれる白斑のような独特な地形が多い一方で、古いクレーターは前述した作用や浸食などで消滅していると考えられます。
なので表面にはあまりクレーターらしき箇所は見当たりません。
だからあんなヒビが入ったビー玉のような見え方をしているのですね。
1990年代にガリレオ探査機による調査ではこのような氷が割れてもう一度固まった地形が発見されたことで海の存在を強く想起させるものとして注目を集めました。
因みにこのエウロパ内部に存在されると思われる内部海の存在は、驚くべきことに内部の熱状態に関する理論的計算によって1970年代にはすでに予想されていたといいます。
まとめ
他の衛星に比べると、クレーターが少ない分とてもなめらかな表面をしているともいえるエウロパ。
もしかしたら私たちが見る面にはそれだけしか見えないだけで、観測しきれていない面にはもっと大きなヒビが入っているところもあるかも知れませんね。