巨大なプールに惑星を浮かべてみると、土星だけが浮かんで他のすべてが沈む、と聞いたことがありますが、これは本当でしょうか?
たとえば木星も、土星と同じ巨大ガス惑星です。
同じガスが主成分の惑星なのだから、木星も水に浮かぶのではないでしょうか?
もし、惑星を水に入れてみることができる超巨大なプールがあったとして、どの惑星が水に浮いてどの惑星が水中に沈んでしまうかを、思考実験で確認できないでしょうか?
木星は本当は水に浮くのだろうか?
惑星が水に浮くか沈むかを確認するためには、惑星と水との比重を調べなければなりません。
比重が1より小さいときには、惑星が水より軽いため、惑星は水に浮きます。
比重が1と等しいときには、惑星と水が全く同じ質量になるので、惑星は水中で浮きそうで沈みそうな、微妙なレベルでバランスの取れた状態になります。
比重が1より大きいときには、惑星が水より重いため、惑星は水中に沈みます。
比重とは、ある惑星の質量と、その惑星と全く同じ体積の水の質量との比を意味します。
通常は摂氏4度の水(密度0.99973g/cm³)を基準に使います。
太陽系の惑星の代表例として、最も大きな木星を例に比重の計算を行います。
木星の体積は1.43128×10¹⁵km³、質量は1.8986×10²⁷kg
一方、同体積の水の質量は、
1.43128×10¹⁵×(0.99973×100,000³/1,000)
=1.43089×10¹⁵×10¹⁵×10⁻³
≒1.4309×10²⁷
したがって木星の比重は、
(1.8986×10²⁷)/(1.4309×102²⁷)=1.3269≒1.33
1.33は1より大きいので、木星は水に沈むことになります。
同じ方法で他の7惑星の比重を計算すると、
- 水星5.43
- 金星5.24
- 地球5.52
- 火星3.93
- 土星0.69
- 天王星1.27
- 海王星1.64
となるので、太陽系で水に浮くことができる惑星は、土星だけであるということがわかりました。
まとめ
木星は水に浮くか?という問題に対して、残念ながら浮くことはない、水中に沈んでしまうという結論を、比重を求めることで導き出しました。
他の惑星についても比重を求めた結果、太陽系において、土星以外に水に浮く惑星は存在しないということもわかりました。