金星は宵の明星として日暮れの西の空に、明けの明星として明け方の東の空に明るく輝く魅力的な天体です。

ただし、金星は一年を通じて同じように観測できるとは限りません。

あるときは夕方、あるときは明け方しか観測できず、全く見ることのできない時期もあります。

金星を確実に観測するためには、この天体が天空上で、いつ、どのような位置に見えるのか、時期と時間を常に気にしなければなりません。

金星が観測可能な時期、観測しやすい時期は?

金星の公転周期が224.70日である一方、地球の公転周期は365.24年です。

公転周期が双方で異なっているので、互いの位置関係は刻々と変化します。

変化は、内合から次の内合の期間である会合周期の583.92 日(約1年7か月)ごとに、繰り返されています。

内合から外合までの約9か月半は日の出より早く金星が東の空に昇るため金星は「明けの明星」と呼ばれます。

外合を過ぎた後の約9か月半は日没より遅く金星が西の空に沈むため金星は「宵の明星」と呼ばれます。

内合の前後の時期には太陽にじゃまされるし、外合の前後の時期には金星が地球の影となるので、金星を見ることができません。

金星は天空において、太陽から一定以上の角度に離れて見えることがありません。

この角度のことを最大離隔といい、金星の場合は47度です。

太陽の東側の最大離隔の位置を「東方最大離角」、太陽の西側の最大離隔の位置を「西方最大離角」と呼びます。

金星を最も観測しやすいのは、天体が東方最大離角と西方最大離角のどちらかにあるときです。

また東西の最大離角の位置と内合の位置のちょうど中間くらいの位置に金星が来たときも、比較的よい観測のタイミングといえます。

このころは地球と金星の距離が近くなるので、金星が最も明るく輝きます。

もしこれらのタイミングを逃しても、観測ができなくなるわけではありません。

金星は外合あるいは内合の前後の期間を除くと、連日観測が可能です。

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金星が観測できる時間は?!

金星と太陽の最大離隔が47度ということは、金星は真夜中には絶対観測できないということを意味します。

そして昼間には、最も明るい天体である太陽が天空全体を明るく照らしているので、他の天体と同じように金星を見ることは不可能です。

つまり金星は日没後の西の空か、夜明け前の東の空でしか観測できません。

日の入り直後や日の出直前は、まだ空が明るいので金星も簡単に見つけることは難しいようです。

日没後ある程度薄暗くなった頃(宵の明星の場合)か、早起きしてまだ空が薄暗い頃(明けの明星の場合)を狙って観測すると、明るく光る金星を簡単に見つけることができるでしょう。

金星が太陽と東に向かって47度離れたときは、西の空で日没後最も遅い時刻まで観測できます。

金星が太陽と西に向かって47度離れたときは、東の空で日の出前の最も早い時刻から観測可能です。

まとめ

金星は天空において太陽から最大離角である47度以上離れて存在できません。

そのため夜中に見ることは絶対に不可能だし、日暮れ後の西の空か夜明け前の東の空、というように、観察できる時期とタイミングが定まってしまいます。

そのため金星を観測する前には、いつ東方(あるいは西方)最大離角になるかを事前に天文台のホームページ等で調べておくことが、望ましいといえます。