地球と木星の間の距離はどれくらいで、その間を旅するとしたらどれくらいかかるでしょうか?
将来計画されるかもしれない地球-木星間の有人旅行の可能性も含めて、検討してみることにします。
木星との距離と時間
地球と木星は、どちらも太陽の回りを公転しているので、互いの位置関係は常に変化しています。
したがって、このふたつの惑星の距離も常に変動しています。
互いが最も近づいたときは約6億キロメートル、最も離れたときは9億キロメートル強になります。
これを光の速度で表現すると、最も近づいたときには30分、最も離れたときには45分程度です。
木星への旅にかかる時間、そして往復旅行は可能か?
地球から木星に最短距離で旅行すると仮定した場合、新幹線(時速300キロメートル)クラスの乗り物なら到着まで約224年、超音速機コンコルド(時速2,200キロメートル)クラスの乗り物で約31年かかります。
コンコルドより10倍以上速いスペースシャトル(時速2万8,000キロメートル)を利用するとおよそ2年5か月、ようやく実用的なレベルになります。
より現実的な可能性を求めて、過去に地球から打ち上げられた木星の無人観測衛星の実績を調べると、さらに期間が短く、1年半ほどの期間で地球から木星に到達することが可能だとわかります。
しかしここでひとつの大きな問題にぶつかることになります。
人類はこれまで地球から木星までの飛行実績はあっても、木星から地球までの飛行実績はないという事実です。
思考実験レベルでは「スペースシャトルクラスの宇宙船なら2年5か月で地球から木星に到着するのなら、地球と木星を有人飛行で往復するのには5年程度で問題ないだろう、無人観測衛星なら2年から3年あれば問題ないだろう」といった結論を出すのは簡単かもしれません。
しかし、木星本体は地球より重力がおよそ2.5倍も大きく、一度木星にとらえられた宇宙船が木星の重力圏を脱出するためには、地球のおよそ5倍強の脱出速度が必要になるため、その手段を考えるのは恐らく大変なことになると思われます。
まとめ
地球と木星の間の距離は、約6億キロメートルから約9億キロメートルの間を変動しています。
そして地球と木星の間の旅を考えた場合、地球から木星に行くより、木星から地球に帰還する方が難しい問題が多くあると考えられます。
しかし、このことは木星との有人往復旅行計画は未来永劫にわたってあり得ない、という意味ではありません。
実際、木星本体はともかく、木星の衛星であるエウロパやカリストへの旅は、専門家の間で話題になることもあるようです。