金星はマイナス4等という、ほかの星とは比べ物にならない明るさで輝いています。

そして天体望遠鏡を使って観測すると、三日月のように細くなったり、満月のように丸くなったり、大きさも明るさも、日々変化することがわかります。

ここでは金星の満ち欠けのあらましと、それを観察するのに必要な天体望遠鏡のスペックについて、紹介することにします。

金星の満ち欠けを望遠鏡で観測するには?

金星の満ち欠けのしくみを理解するには、外合と内合を理解しなければなりません。

3つの天体が地球—太陽—金星の順に一直線に並ぶときを外合、地球—金星—太陽の順に一直線に並ぶときを内合といいます。

外合のときは金星が太陽の向こうに完全に隠れてしまうので、地球から金星を観測することはできません。

また内合のときも、地球から見て金星に太陽の光が全く当たらないので、金星を観測することができません。

しかし外合から内合までの期間、金星は日没後、宵の明星として西の空に見えます。

その期間、金星は小さな満月に近い形から、半月でいちばん見やすい時期(西方最大離角)を経て比較的大きく明るい三日月形へと除々に形と大きさを変化させていきます。

その後、内合から外合までの期間、金星は夜明け前に明けの明星として東の空に見えることになります。

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その期間、宵の明星の時期とは反対に、大きく明るい三日月形から半月形の一番見やすい時期(東方最大離角)を経て、小さく満月に近い形へと、姿を変えて行きます。

金星を観測するときは、金星が現在日没後空の西側に見えるか、夜明け前に空の東側に見えるかは、最低限確認しておかなければいけません。

そうでないと望遠鏡を金星に向けることすらできなくなるからです。

また金星を天体望遠鏡で観察するときは、大抵近くに太陽があるので、それが視界に入らないように、十分に気をつけて下さい。

金星の場合、倍率が高く、口径もそれに見合って大きい天体望遠鏡を使って金星を観測したとしても、表面の様子が特によく見えるということは、ありません。

金星の表面は分厚い雲がおおっていて、その雲が金星の表面をのっぺりとした状態に変えているからです。

金星を天体望遠鏡で観測するときの主な楽しみは、金星が日々満ち欠けと大きさを変化させる様子です。

天体観測を行うとしても、金星だけが目的の場合は、低倍率で口径の小さい入門者用の機種で十分です。

より具体的にいえば、倍率が50倍から100倍、口径が50ミリメートルから60ミリメートルのもので十分だといえるでしょう。

ただし金星だけでなく、木星など他の惑星を観察してみたい、金星だけを観察するとしても惑星表面の写真を撮影したい、といった目的があるのなら、倍率が100倍以上、口径も最低でも70ミリメートルから140ミリメートルぐらいの望遠鏡を使った方が良いかもしれません。

まとめ

金星はふたつの合(外合と内合)の時期をはさんで、満月から三日月へと、そして三日月から満月へと、形を変化させます。

それに伴って大きさや明るさも変化します。

このような金星の変化を観察するためには、天体望遠鏡が必要になります。

天体望遠鏡のスペックは、天体写真を撮るなどの特別な目的があるときを除いたら、入門者用の低倍率で口径の小さいもので十分です。