木星は太陽を除くと、太陽系内で最大の重力源です。
地球の約2.5倍というその強力な重力は、ほかの惑星などに対して何か影響を与えることはないのでしょうか?
調べてみました。
木星の重力の及ぼす影響
木星は、周囲の衛星に重力の影響を及ぼしています。
どれも木星の引力圏に捉えられて、木星のまわりを回っているからです。
特に4つあるガリレオ衛星の中で木星に最も近いところを回っているイオには、それ以上の影響を与えています。
イオは激しい火山活動が行われている星として有名なのですが、その火山活動の原因は、木星の強い潮汐力がイオの内部に歪みを与えていることによるといわれています。
木星の重力が影響を与えているのは、付近の衛星だけとは限りません。
周囲の惑星にも、その強い重力がいろいろと影響を与えています。
木星は11.86年(約12年)の周期で太陽の回りを公転しています。
その一方で、土星も29.53 年(約30年)の周期で公転をしています。
すぐわかることですが、両者の公転周期の間には 11.86:29.53=2:5 というように、単純な整数比の関係があります。
太陽の回りを公転するふたつの惑星が、互いに重力を働かせた結果、両者の公転周期が単純な整数比になる関係を軌道共鳴というのですが、この木星と土星の関係も軌道共鳴のひとつではないかと、いわれています。
実は地球も木星の強い重力の影響を受けています。
木星の強い重力が地球を守る役割を果たしてくれているのです。
太陽系には、小惑星や彗星やときおり飛び込んでくる巨大隕石などが存在しています。
そのうちいくつかは地球への衝突コースをたどるかも…という危険なものもあるのですが、それらの大半を、地球より外側を回っている木星が、強い重力で自分の大気圏にそれらを引き込んでしまうことにより、地球など内惑星を守ってくれる役割を果たしているのです。
1994年に現れたシューメーカーレビー彗星のように、それらは木星の強い重力にとらえられて木星に激突したりします。
あるいは木星の重力でコースを変更した物体も多いかもしれません。
木星が「片付けた」巨大物体の中には、もし木星がなかったら、本当に地球への衝突コースを取っていた可能性が高かったものも、かなり含まれているようです。
まとめ
木星の強い引力は周囲の衛星や惑星に大きな影響を及ぼしています。
木星の衛星イオが、激しい火山活動を続けているのも、木星の強い引力の影響だといわれています。
木星から遠く離れた地球にも、木星の重力は影響を及ぼしています。
もしかしたら地球に衝突したかもしれない小惑星、彗星、そして太陽系外からやってくる隕石は、木星の強い重力でコースを変更されたり、木星の内部に引き込まれてしまうおかげで、地球に激突する可能性を、ずいぶん減らしているのです。