木星の磁場はとても強力で、太陽系の惑星のなかで最大の規模と強さを誇ります。
その強さは、地球の磁場の2万倍もあります。
強さだけでなく規模に関しても、地球の磁場の数十倍の大きさがあることが知られています。
こんなに強力な木星の磁場は、いったいどのようにして生まれたのでしょうか?
木星の磁場が作られた理由
木星の強力な磁場がどのような仕組みで生み出されているか、正確なところはまだわかっていません。
しかし、中心部にある金属化した水素の対流が原因だとする説が最も有力で、一般にも通用しています。
水素は木星の中心部では、外側の層にある莫大な量の物質が作り出す重力のおかげで、水素が圧縮されて液体になり、金属としての性質を持つようになっているといわれています。
金属化した水素は金属のように電気を通すため、地球の2.4倍という高速な木星の自転の結果激しく対流して電磁気を生み出し、強力な磁場の発生につながっているというものです。
木星の磁場は、木星自身だけでなく、最も近い衛星であるイオの激しい火山活動にも影響を及ぼしています。
木星と地球の磁場の比較
木星と同じように、地球にも磁場が存在します。
地球の磁場は、地球の中心の置かれた一本の棒磁石を仮定することでほぼ正確に近似でき、北極がS極、南極がN極に相当しています。
(ただし、地理上の北極・南極と、地磁気の北極・南極は少しずれているので、注意が必要です。)
地球の磁場の原因は、地球の核に含まれる液状の鉄やニッケルが対流することで電流が生まれ、それがさらに巨大な電磁石の役割を果たすこと(ダイナモ効果)によると考えられています。
地球の磁場を木星の磁場と比較すると、地球における鉄やニッケルの働きを、木星では金属化した水素が果たしていると考えられていることがわかります。
一方で、磁気の強さ・大きさなどのスケールを比べると、地球は木星の足元にも及びません。
なぜそのように金属化した水素で生じるのか、という疑問が生じるかもしれません。
その場合は木星のスケールが地球と比べものにならないほど大きいことを考えるべきでしょう。
木星は、地球の11倍の直径と1,321倍の体積があります。
重さも地球の318倍です。
これだけ巨大な物質のかたまりの圧力を受けたら、中心部で水素が金属化して巨大な電磁波の発生源になったとしても、不思議なことではありません。
まとめ
木星の磁場は地球に比べて強力(地球の2万倍)で大規模(地球の数十倍)であることが知られています。
そして、このようなスケールの大きな磁場の核となっているのが、重力で圧縮されて金属化した液体水素、すなわち金属水素の存在です。
木星には莫大な量の金属水素が存在しています。
木星の磁場が非常に強いのは、この金属水素が原因であるといわれています。