かつて19世紀では火星には運河があると信じられていました。
火星には海があり、高等な知能を持った生物が生息していて運河を作り、火星中に水を供給しているといった内容です。
ですが、現在では火星に運河は無いという結論に至っています。
ではなぜ火星に運河があると言われていたのでしょうか?
また、運河の正体は何だったのでしょうか?
歴史的な観点からひも解いてみましょう。
火星には運河が存在した?運河の正体は何だったのか?
現在では、火星に運河が無いことが証明されています。
運河の正体は、隆起した地形によるものだとわかっています。
しかし過去には火星に運河があると信じられていたのです。
19世紀の天文学者の中に、火星の観測に尽力した「パーシヴァル・ローウェル」という名の天文学者がいました。
彼は、火星には運河が存在すると主張し、天体観測で見た火星の運河について地図を残しています。
1895年に描かれた火星の「運河」の地図。 https://t.co/Qcosc1jOgc 作成者は米国の天文学者のパーシヴァル・ローウェル。彼は観測から冥王星の存在を予測するなど科学的な成果も挙げたが、一方で望遠鏡から見える火星の表面の模様を運河と考え、火星人の存在を主張した。 pic.twitter.com/fgXkHkNNAs
— Oguchi T/小口 高 (@ogugeo) 2017年6月8日
彼によるとこの運河は人工的なもので、火星には高い知能を持つ生物が作ったものだというのです。
火星に水路が存在するということはイタリアの「スキャパレリ」やフランスの「フラマリオン」といった天文学者によって運河といったニュアンスで扱われていて、ローウェル自身が影響をうけたことが始まりでした。
ですが、この後科学の進歩によってこの主張は間違っていたとされています。
というのも19世紀の天体観測には、望遠鏡で観測するしか方法が無く、望遠鏡で見たものを書き写すことしかできなかったからです。
20世紀に入り、天体観測に写真が登場し望遠鏡よりさらに鮮明な情報を手に入れることが出来るようになり、運河の主張は疑問視されるようになりました。
さらに、マリナーというアメリカの火星探査機による火星の表面を撮影した写真にはぼこぼこした穴と隆起した地形であったことから、これが運河のように見えたのだとローウェルの主張は完全に否定されることになりました。
まとめ
火星に運河があったと言われていたのは、実は火星の地形が運河のように見えたからなのです。
かつての天体観測には望遠鏡しかなかったためです。
ですが、過去に火星に海があったという報告もありますし、まだまだわからないことも多いのです。