地球上で一番寒い場所はどこでしょうか?
単純に考えれば北極点か南極点のどちらか、あるいはその両方だということになります。
しかし現実はそのように単純ではありません。
ある地点の気温は、緯度によって単純に定まるのではありません。
地形や周囲から流れ込む空気の温度など、さまざまな気候上の要素が加わって、はじめて決まるのです。
地球で一番寒い場所とは?!
地球で一番寒い場所は南極大陸にあります。
1957年南極に建設された南極点の近くにあるロシアのボストーク基地で、1983年に観測されたマイナス89.2℃が、長い間世界最低気温として公認されてきました。
しかし、2004年から2016年までの衛星データを米国のチームが分析した結果、マイナス89.2℃よりさらに低いマイナス97.8℃という気温が記録されていることが判明しました。
南極で最も標高の高い約4,000メートルの氷床にある、深さ2〜3メートルのくぼみの中で、です。
周囲よりもさらに冷たい空気がこのくぼみの中に溜まっていたのです。
(ちなみにボストーク基地も標高3,488メートルという内陸部の高地に建設されています。)
研究者たちは、これが地球上で測定できる最も低い気温だと考えています。
一方、南極の反対にある北半球では、ロシア・サハ共和国北東にあるオイミャコン村が、地球で一番寒い土地人間の定住地として知られています。
ほとんどが北極の永久凍土の上にあるこの村では、1月の平均最低気温がマイナス50℃に達します。
それだけでなく、最低気温としてマイナス71.2℃を記録したこともあります。
オイミャコン村のこの最低気温は、北半球において、北極やエベレスト山頂での記録より低い値です。
このような地域のため、オイミャコン村の冬の生活には私たち温帯に住む人間が見ると、ユニークというより他に形容できない習慣が、いろいろあります。
たとえば冬に魚を釣り上げると、そのまま凍ってしまいます。
そして魚は凍ったままで食卓にのぼり、薄切りにされて塩をつけて食べられたりします。
さらにユニークなのは洗濯物を干すときの習慣です。
普通に洗って普通に屋外に干すのですが、当然のごとく洗濯物は即座に凍ってしまいます。
すると、洗濯物を干した人は凍った洗濯物から氷を払い落します。
これだけで洗濯物の乾燥は終わりです。
水分はすべて凍ってしまうので、このような技が冬期には可能になるのです。
まとめ
南極ではマイナス100℃近くで、ロシアのオイミャコン村ではマイナス約70℃。
南半球と北半球の間で最低気温にこのような差があるのは、南極が北極と異なって大陸であることに関係しています。
そのため南極は北極と気温の変動が激しく、空気も乾燥しています。
しかも南極の内陸部のほとんどが分厚い氷河の上にあって標高が高いため、標高の低い北極周辺よりさらに気温が低くなるのです。