金星は地球よりも太陽に近い位置の軌道で公転を繰り返しているので、地球よりも気温が高いと単純に考えられます。
事実昔から金星は、近づいたあらゆるものを焼き尽くす灼熱の惑星だと考えられてきました。
しかし2006年に金星の近くに到着した観測船「Venus Express」による8年に及ぶ観測の結果、金星は灼熱の惑星ではなく極寒の惑星だというデータが送られてきたのです。
金星の気温は本当は低い?
金星の大気は9割以上が二酸化炭素で、そこに微量の窒素が含まれます。
金星の大気は太陽の光を80%遮断するので、地表には熱も届きません。
本来なら金星の地表の温度は氷点下になるはずですが、大気の膨大な二酸化炭素の影響で温室効果をもたらしています。
金星の大気は気圧がとても高く、95気圧の二酸化炭素は500℃以上の温室効果をもたらします。
したがって金星の温度は非常に高く、金星よりも太陽に距離が近い水星の表面温度よりも高いといわれていました。
しかしVenus Expressから送信された観測データによると、金星の上空に気温が氷点下175℃の場所があることがわかりました。
そして金星の極域付近は気温が高く、その周辺を冷たい空気が囲んでいるという気温分布もわかっています。
金星の大気分布では金星の赤道付近は気温が低いのですが、緯度が高い地域に行くと気温が高くなります。
金星を覆う雲が太陽の光で温められ、大気に金星の自転と逆方向の波が発生します。
しかし金星大気の上層部にはスーパーローテーションと言う秒速100mの東風が吹いています。
この二つは互いに反対方向へ進もうとして作用し合うので、下降流が発生します。
このように金星の一部に継続的に高温の地域があり他に低温地域が出現することは、金星を包み込んでいる大気波が関係していると考えられています。
まとめ
金星は太陽に近い軌道を公転するので、金星全体が高温に包まれていると考えられていました。
金星の雲は太陽の光をほとんど通しませんが金星を取り巻く大量の二酸化炭素によって温室効果をもたらしているため、光を通さなくても地表の温度は上がると思われていました。
しかし観測データによると、金星には温度が低い場所があります。
そこには大気の波などが関わっているといわれていますが、金星はまだまだ多くの謎に包まれています。