金星のことを「明星」と呼ぶことがあります。

明け方に見えるときには「明けの明星」、夕方に見えるときは「宵の明星」と呼ばれます。

ときには「宵の明星」を「一番星」と呼ぶこともあります。

金星には他にも名前があるのでしょうか?

また世界各国で金星のことをどのように呼んでいたのでしょうか?

金星の別名(「明星」以外)とは?!

欧米では、金星のことを古代ローマ神話の愛と美の女神の名をとってウェヌス(英語読みの場合はヴィーナス)と呼んでいます。

古代ローマ神話に強い影響を与えていた古代ギリシャ神話でも、金星を愛と美の女神であるアフロディテにたとえています。

さらに時代をさかのぼると、古代メソポタミアで金星は同じよう美の女神であるイシュタル(アッカド語の場合)あるいはイナンナ(シュメール語の場合)の名で呼ばれています。

また古代ギリシャでは、明け方に姿を現す金星と夕暮れ時に姿を現す金星を別々のものと受け取っていた時代があり、そのころにはアフロディテではなく、フォスフォラス(明けの明星)ヘスペラス(宵の明星)という別々の名前を割り当てていました。

フォスフォラス、つまり明けの明星は、は古代ローマ時代にはルシファー(ラテン語で光をもたらす者)へ変わります。

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そしてこのルシファーはキリスト教の時代になると、神に使える天使の長でありながら堕落して地獄へ下った存在とみなされるようになってしまいます。

東洋でもでも金星は古くから知られていました。

中国では、金星のことを太白(たいはく)と呼んでいました。

しかし本来中国では宵の明星と暁の明星とを別々の星と考えていて、明けの明星を啓明(けいめい)、宵の明星を長庚(ちょうこう)あるいは太白と区別していました。

日本においても、日本書紀に登場する天津甕星(あまつみかぼし)あるいは香香背男(かがせお)という神様は、金星のことだといわれています。

また平安時代には、明けの明星を阿加保之(あかほし)、宵の明星を由不豆々(ゆふづつ)と呼んでいて、清少納言の枕草子にも登場します。

まとめ

金星は「明星」という名の他にも、たくさんの別名が知られています。

ギリシャ神話ではアフロディテ、ローマ神話ではウェヌスという名前で呼ばれ、現在の欧米ではVenus(ウェヌス、ビーナス)という名前で呼ばれています。

古い時代のギリシャや中国、日本など、明けの明星と宵の明星を区別する文化もあり、そういう場合はフォスフォラスとヘスペラス(ギリシャの場合)のように、別々の名前を割り当てていました。