現在では500℃にもなる地表の温度や大気の大半を占める二酸化炭素、分厚い硫酸の雲などに覆われて、生命の存在の可能性は限りなくゼロに近いと考えられている金星ですが、かつては地球と同じような環境だったという説があります。

惑星の創生期に地球と同じようなつくりをしていたといわれるため、生命の存在についても様々な憶測をよんでいるということです。

ここでは、金星には過去に生命が存在していたのではないかという説についてご紹介します。

金星には過去、生命が存在していた!?

NASA(アメリカ航空宇宙局)の研究チームは、30億年程度前の金星には、生命の存在も可能な環境があったという説を発表しています。

地球の気候変動予測に使われているコンピューターモデリングを応用し、古代金星の状況を推測により再現したものによると、当時の金星は生命が存在する可能性のある海があり、穏やかな気候で気温も地球よりむしろ低めだったのではないかということなのです。

これは、当時の金星は分厚い雲に覆われていたため、太陽からの熱や放射線がさえぎられていたのではないかという推測からきています。

ただ、金星に海があったという説は1980年代から指摘されてはきたものの、決定的な証拠になるものは見つかっていないのが現状です。

そして推測によると、そのような時代は20億年くらい続き、その後に環境の大きな変化が起こり今のような環境になったということなのです。

スポンサードリンク

その原因や仕組みについても想像の域を出ませんが、太陽に近いことから水分が蒸発してしまい、二酸化炭素が大気中に堆積することで発生する温室効果ガスの異常な増加が現在の金星の過酷な環境に大きな影響を与えていること、また過去10億年にわたる火山活動がそれに輪をかけ、地形も大きく変化したと考えられています。

ただ、金星が温暖で湿潤だったのは誕生から間もない時期に限られており、過去40億年の大部分は過酷な環境の惑星だったようなので、金星人のような生命が存在していたのかについては、厳しい見方が必要になるのかも知れません。

まとめ

金星と地球の誕生は、ほぼ同じ46億年程前だといわれます。

しかし金星が地球のような気候であったのは30億年程度前までで、残りの長い年月は二酸化炭素に覆われた500℃近い高温の環境であったといわれます。

生命体の存在についても、海があったといわれる時代であれば可能性もありますが、現在の環境では可能性は限りなくゼロに近いという見解が主流かもしれませんね。

今後の研究に注目したいものです。