人類が金星に移住して、地表の環境をテラフォーミング(地球化)で完全に手中に収めてしまうのは、仮に実現するにしても数千年から数万年の時間がかかるでしょう。

金星の表面の気圧は90気圧になるし、大気に多量に含まれる二酸化炭素による温室効果のおかげで気温は摂氏460度だからです。

しかもそこに到達するまでには、激しい嵐や厚い硫酸の雲を突っ切らなければなりません。

人類の金星移住計画は、いったいどのような形なら実現可能になるのでしょうか?

金星移住計画の第一歩とは?!

金星表面の環境は過酷です。

しかし金星上空の高度50キロメートルのあたりでは、状況はまったく違います。

高度50キロメートル付近の気温や気圧は地球とほぼ同じです。

そのため将来の金星移住計画は、金星上空50キロメートルを浮遊する空中都市を構築するという方法で、十分に実現可能です。

NASAでも新しい金星探査計画で、金星上空を周回する空中基地に宇宙飛行士を滞在させて、科学研究を行うことを目指しています。

この計画にはHAVOCというコードネームが付けられて、2015年に発表されました。

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HAVOCでは特殊な宇宙船を使います。

それは地上から打ち上げられて金星上空に到着した時点で飛行船に変身し、硫酸の雲の上を周回するというものです。

この飛行船は太陽光発電パネルを使って、必要な電力を供給する等、現在の技術を用いて開発可能だと考えられています。

HAVOCが実現すると、宇宙飛行士は440日かけて金星への旅を行うことになります。

金星に到達するのに110日、上空に滞在するのが1か月、地球に戻ってくるのに300日というスケジュールです。

440日というと長いように感じますが、往復で650日から900日という期間が想定されている火星への有人飛行に比べて、ずっと短期間ですみます。

NASAがHAVOCを本当に実行するかどうかはまだ明らかになっていません。

しかしこのHAVOCが、いつかは現実になるに違いない本格的な金星への移住計画の、最初の第一歩になることは間違いないでしょう。

まとめ

人類の金星移住には、超高温・超高圧な地表の環境や、金星に広がる硫酸の雲など、さまざまな問題が存在しています。

しかし硫酸の雲の上には、地球と気温や気圧が近い空間が広がっているので、そこに空中都市を構築するという移住計画を考えることができます。

NASAでもその一歩となるHAVOCという有人金星探査の計画があります。

特殊な宇宙船で金星に行って、金星上空では飛行船のように浮かんで惑星探査や科学研究の基地となるというものです。